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幻覚なる満月
内容は、女性向け要素でたくさんです。現在は、コ/ー/ド/ギ/ア/スを主食にしています。
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「・・・・・る、・・・ルルーシュ、先輩?」

自分の目を疑った。
ちらり、と横を見るとアーニャも同じ様に目を見開いて現状を理解できていない。
だって、まさか・・・
俺たちが今居る場所は、人身販売のオークション会場だったのだから・・・。


値段のついたアメジスト


「じ、・・・・ジノ・・・」

震える声で、私を呼ぶ声が聞こえた。
アーニャだ。
しまった、と思ったのは遅すぎた。
私が遊び半分で、人身販売のオークションに行こうと言い出したのがきっかけだった。
すると、アーニャは素っ気無くだが「行く」と言ったから・・・
きっと何も起こらないだろうと、軽い気持ちで会場へ・・・足を運んだ。

だけど

「あ、あれ・・・・ルルーシュくん、・・・だよ、ね」

口にした瞬間、自分でも恐ろしくなったんだろう。
アーニャはより一層、震え、蒼白くなっていく。

(だめだ・・・)

直感的に、そう思った。
そしたら、頭に考えるより早く、身体が動いてた。

「私は神聖ブリタニア帝国99代目皇帝直属ナイトオブラウンズ・3のジノ・ウィングルベルだ!」

商品とされ口をふさがれ、手足を縛られたルルーシュが入っている檻が置いてあるステージへ
駆け上がって、威厳を出すように手振りをつけ、高らかに自分の身分を証明した。
すると、震えていたアーニャもステージに上がった。

「ナイトオブラウンズ・・・・6、アーニャ・アールストレイム」

大きくはないが、責任者たちには十分に聞こえる声だった。
一気に、会場がざわめく。

「この会場にいる者すべてを、違法人身販売の容疑で捕まえさせてもらう。
 今から、動いた奴は拘束していく・・・ここから出ようとしたり、外部に連絡をとったりしようとしても
 私たちには分かる、無駄な抵抗はやめろ。」

それだけ言って、アーニャに小声で

「ルルーシュ先輩と、他の商品にされてる人がいないか確認して開放してきてくれないか」

アーニャは小さく頷き、ルルーシュの檻へと向かった。
私は、沈黙化した会場に意識を戻した。

「アールストレイム卿・・・どうしてこのような場所へ・・・っ」

「ジノが、行こうって言ったから・・・そしたら、貴方が商品になってて・・・」

淡々と応えたつもりだったが、声が震えてしまったのかもしれない。
いや、声は震えていなかったが泣きそうになっていたのかもしれない。
彼は、そっと私に微笑んだ。

「アーニャ、大丈夫だ・・・俺は大丈夫だよ、ありがとう」

涙が、流れた。

今まで、涙なんて流した覚えがない。
もう随分と長い間、忘れていた。
たくさん人を殺した、そんな私でも泣けたんだと、
無くなってしまったと思っていた心は、ちゃんとあったのだと。

「アーニャ、・・・アーニャ」

私は震える手で彼の手足を縛る紐を解く。
彼はただ、優しく、私の名前を呼ぶ。

「ルルーシュ・・・さ、・・・」

”ルルーシュ様”

違う、と頭に浮かんできた映像に否を唱える。
彼は、一般人だ。
皇族なんかじゃ、ない。

「アーニャ、ありがとう・・・」

でも、彼が私を呼ぶそのひとつひとつの仕草に
私は見覚えが、聞き覚えがあった。
忘れまいと、身体が覚えている。
けど、私の頭が違うと言ってる。

「・・・答えて」

私は、私の中での賛否にどう答えをつければいいの。

「貴方は、・・・皇族?」

 

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